総集編の作り方
総集編は、既刊をまとめた商品だと思われている。実際には、まとめる作業のほとんどが「捨てる」作業になる。何を再録しないかを決められないと、通し読みできない本になる。
再録の選び方
まず、全ページを通して読む。単体で売っていたときの区切りは、いったん忘れる。通して読んだときに、同じ場面が続く箇所、テンポが落ちる箇所を印にする。印のついた場面は、思い切って外す。
外した分、ページ数が減る。減ったところに新規を足す。足すのは、既刊の隙間を埋める場面だ。新しい話を作るのではなく、既刊のあいだにあった時間を描く。
再録と新規の比率は、7対3くらいが読みやすい。新規が半分を超えると、総集編ではなく新作になる。新作として売るなら、そう名乗ったほうがいい。
アンソロジーとの違い
アンソロジーは、複数の書き手の作品を集めたもの。総集編は、一人の書き手の作品をまとめたもの。この違いは、表紙と帯の文言に出る。アンソロジーと名乗るなら、書き手が複数いる必要がある。
ベスト版という言葉は、選んだという意味を持つ。選んだ基準を、後書きに一行でいいから書く。書けないなら、ベストではなく総集編と名乗る。
単行本として組む
単行本として組むとき、ページ番号を振り直す。既刊の記録体フォーマットを保つなら、章番号だけ新しく振る。表紙は、既刊のどれとも似せない。似せると、既刊を持っている人が買わない。
差分は、総集編では削る。単体で売っていたときの会話差分は、通し読みの邪魔になる。どうしても残すなら、巻末にまとめる。
価格は、再録のページ数で決める。新規のページ数で値付けすると、既刊を持っている人にとって高く感じる。
表紙は、再録した作品のどれかを流用しない。流用すると、既刊と見分けがつかない。新規の場面から一枚だけ選ぶ。告知は、再録の範囲を先に出す。何が入っていないかを書くと、買う側の判断が早い。
うちの3本で作るなら
いま出ているのは、43ページ、121ページ、81ページの三本。合計245ページ。これをそのまま束ねると、245ページの本になる。通し読みすると、三本とも「記録体」で、主人公が違うだけの同じ構造に見える。だから再録は、各本の山場を2場面ずつ、計6場面に絞る。残りは新規で、三本のあいだの時間を描く。
新規は20ページ前後。三本を読んだ人が、まだ読んでいない場面を20ページ。これが総集編の正しい形だと思っている。
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